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2017年07月23日
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美学と批評について

2010年03月28日

 「美学」という日本語には二つの意味がある。

(1)美的現象に対する哲学的アプローチ
(2)何が美であるかについての価値観

「私は大学で美学を専攻している」というときは(1)の意味であり、「彼には男の美学がある」というときは(2)の意味である。

 同じように、批評には、(1)理論的解明と(2)価値的判断の二つの側面がある。理論的解明によっては作品の説明が可能になり、価値的判断によっては作品の評価が可能となる。そして理論と評価とは、理論内部で使われている概念によって結びついていることが多い。

 例えば、カントは、「天才」とは、ある規定された概念を感性化する際に、悟性がその概念のもとで思考していた以上の構想力の表象、すなわち「美的理念」を作りだす能力だと言う。ここまでは美学理論である。ところで、この美学理論には「天才」という言葉が使われている。そして、一般に天才とは望ましいもの、芸術家が備えるべきものと思われている。だから、芸術家はそのような「美的理念」を作りださなければならない、美的理念を作り出せていない作品には価値がない、という価値判断が生じる。

 つまり、美学理論は、当初は美の説明のための理論であるが、その理論の中に「天才」のような価値的な概念が含まれることにより、その概念にまつわる価値判断を介して、価値判断についての基準をも提供するものとなっている。

(広田)
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