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2017年11月25日
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詩のアンチノミー

2010年05月18日
 萩原朔太郎は、『月に吠える』の序において、恐水病患者が、自分が水を恐れる感情を他人に伝えるとしたら、それは詩でしか行えない、と書いている。要するに、詩は言葉にできないことを伝えることができる、と考えているのだ。ところが、これは矛盾している。この矛盾は中学生にでもわかる。

A 詩は言葉である
B 詩は言葉にならないことを伝える

 AとBが矛盾することは明らかである。言葉は言葉にならないことは伝えられない。詩人は昔からこのような中学生にでもわかるような二律背反(アンチノミー)に命をかけてきたのである。

 ところでこのアンチノミーを打開する策はないか。実は三つほどあるのだ。

(1)Aを否定する。つまり、詩は言葉ではなくイメージであるとか音であるとか感情であるとか主張するのである。
(2)Bを否定する。つまり、言葉の指示できる範囲を広げることで、言葉はあらゆる物事を伝えることができると主張するのである。言葉にならないことなど存在しない。だから詩は何でも伝えることができる。
(3)Aで言われている「言葉」とBで言われている「言葉」は別物であると主張する。Aで言われている言葉とは、言葉にまつわるあらゆるもの、イメージや感情・関連する概念などを含み、Bで言われている狭義の言葉とは異なると主張するのである。

(広田)
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